糖尿病は世界中で多くの人々が直面している健康問題の一つで、世界保健機関(WHO)によると、現在約4億2200万人がこの病気で生活しています。

これは全世界の成人人口の約9%に相当し、予測では2045年までにはこの数がさらに増加するとされています。

糖尿病は、ただの生活習慣病ではなく、未治療の場合、重大な合併症を引き起こす可能性があります。

そのため、糖尿病についての正確な知識を持つことは、予防から管理、そして適切な治療へとつながる重要な一歩です。



糖尿病がどのような疾患であるか、そしてどのようにして発症するのかを分かりやすく解説します。

また、1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿病といった糖尿病の主なタイプについて、そしてこれらが日常生活にどのように影響を及ぼすかについても触れていきます。



糖尿病とは?
糖尿病は、体が血糖(グルコース)を効率的に利用できなくなる疾患です。

この状態は主に、インスリンの作用不足や効果の低下が特徴です。

インスリンは、食べ物から得た糖を細胞がエネルギーとするために必要なホルモンです。

糖尿病は大きく分けて、1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿病、小児糖尿病です。

この小児糖尿病は1型糖尿病に分類されています。

1型糖尿病は、主に子供や若者に発症しますが、成人になってから発症するケースもあります。

この形態の糖尿病は、自己免疫反応によって体が自分自身のインスリンを生産する細胞を攻撃し破壊するために起こります。

その為、患者は外部からインスリンを摂取しなければならなくなります。



最も一般的なのは2型糖尿病で、これは主に成人に見られる病型ですが、肥満が増加するにつれて、若年層での発症例も増えています。

2型糖尿病では、体のインスリンに対する感受性が低下するか、またはインスリンの分泌が不十分です。

糖尿病の診断において、血液検査は非常に重要な役割を果たします。
本来、食後2時間程度での血糖値が最も高くなり、その時点での血糖値を測定することが推奨されますが、日常生活においてはこのタイミングでの検査が難しい場合が多いです。

そのため、糖尿病の管理と診断にはHbA1c(ヘモグロビン エーワンシー)の値が広く利用されています。

HbA1cは、過去2〜3ヶ月の平均血糖値を反映する指標で、値が高いほど血糖コントロールが不十分であることを示します。

通常、HbA1cの目標値は、糖尿病のある人で7%未満が望ましいとされていますが、個々の患者の状態に応じて目標値は異なることがあります。



糖尿病の数値を分かりやすく理解するには、「血糖値に30を足す」という覚え方です。
この方法により、血糖値がどれだけ重要であるか、また、その数値が健康にどのような影響を与えるかを体温の観点から理解することができます。

例えば、以下のように考えます。
血糖値が6.5 mmol/L の場合、これに30を足して 36.5 となります。

これは正常な体温範囲と考えられる36.5℃に相当します。

つまり、この血糖値は特に問題ありません。


血糖値が8.0 mmol/L の場合、30を足すと 38.0 となり、これは38.0℃の発熱を意味します。

体温が38.0℃になると、体がだるく感じ病院で治療をお願いすると思いますが、血糖値が8.0 mmol/Lというのは、糖尿病の治療が必要となります。

この覚え方を使うことで、血糖値が健康に与える影響を、日常的に感じる体温と関連付けて考えることができます。

この方法は、血糖値の数値をただ見るだけではなく、その数値が具体的にどのような意味を持つのかを、大切な人が糖尿病になった時に教えてあげる事もできます。



糖尿病の恐ろしい合併症
糖尿病は、その合併症がなければそれ程怖い物でもありませんが、合併症によって引き起こされる病気は特に恐ろしい病気とされています。

重症の場合、視力喪失や足の切断といった深刻な問題に至ることがあります。

また、心血管疾患や糖尿病性ケトアシドーシスなど、生命を脅かす合併症を引き起こすこともあります。



特に懸念される合併症 心血管疾患
    高血糖は血管を傷つけ、動脈硬化を促進し、心筋梗塞や心不全を引き起こす原因となります。

糖尿病性網膜症
    長期間管理されない糖尿病は、網膜の小血管が損傷を受け、最終的に盲目に至る可能性があります。

腎症
    糖尿病性腎症は腎臓の機能衰退を引き起こし、重度の場合は透析や腎移植が必要になります。

神経障害
    高血糖は神経線維に損傷を与え、特に足の感覚を失う原因となります。
これが感染症や足の傷が悪化し、最悪の場合は切断が必要になることもあります。




その中でも最も怖いのが、 “糖尿病性ケトアシドーシス” と言う物

糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)は、特に1型糖尿病患者に見られる深刻な合併症ですが、2型糖尿病の患者にも発生することがあります。

この状態は、体内のインスリンが極端に不足し、血糖をエネルギーとして使用できないため、体が代わりに脂肪を分解してエネルギーを得る過程で生じます。

脂肪の分解によって生成されるケトン体が血中に蓄積し、血液が酸性に傾くことで発生します。

主な症状は以下の通りです。
    極度の疲労感
    頻繁な嘔吐
    深く速い呼吸(クスマウル呼吸)
    乾燥した皮膚と口
    頭痛
    腹痛
    意識の混濁や混乱




特に“糖尿病性ケトアシドーシス”の治療は緊急を要し、主に以下の方法で行われます。
インスリン投与
インスリンを静脈内に投与して血糖レベルを速やかに下げる。

水分と電解質の補給
脱水症状と電解質の不均衡を正すために、十分な水分と必要な電解質を補給します。

糖尿病性ケトアシドーシスの根本原因の治療
ケトアシドーシスを引き起こした可能性のある根本的な原因(例えば感染症や他の医療的状態)を同時に治療します。

糖尿病性ケトアシドーシスは適切に治療すれば回復が見込まれますが、治療が遅れると重篤な結果を招く可能性があるため、早急な治療が必要です。

糖尿病は、適切な管理と治療を行うことで、その合併症のリスクを大幅に減少させることができます。

定期的な血液検査で健康を維持し、糖尿病の合併症を防ぎたですね。



最新研究
最近の研究によると、糖尿病治療における新たなアプローチとして、「インスリン感受性を高める治療」が注目されています。

特定の薬物やライフスタイルの変更が、インスリンの効果を改善し、血糖コントロールを向上させることが示されています。

知られざる情報
糖尿病に関連するあまり知られていない事実として、「糖尿病性睡眠障害」という状態があります。

糖尿病患者は、不規則な血糖レベルの影響で睡眠の質が低下することがあり、これが全体的な健康に悪影響を及ぼす事があります。



このように糖尿病はただの糖尿病と言う病気ではなく、合併症を心配しなくてはいけない病気です。

健康診断の結果表はなかなか理解できませんが、“HbA1c”はとても大切な項目です。

大切な人の為にもこれからは意識をして、数字が気になる時はすぐ医療機関の受診する事をおススメします。